勤務医の実に75%の医師が開業を希望しているといわれています。そのとき効果を発揮する方の一つに「小人数私募債」の発行という資金調達方法があります。
発行が容易な「小規模私募債」発行
これは1930年代から中小企業の資金調達法として導入されましたが、中小企業のオ―ナ―の個人の信用力をもとに、私的な社債を発行し、オ―ナ―の縁故者に社債を購入してもらい資金を調達するという方法です。
現在,私募債による資金調達は、2002年で前年比6,000億円増の2兆円に達し、すっかり定着した感がありますが、2003年4月に証券取引法施行令の一部が改正されて銀行や証券会社、保険会社など法律で定められる適格機関投資家に限って、一括して購入してもらう方法あるいは、個別に購入してもらう方法が認められるようになりました。
厚労省は、先頃「これからの医業経営のあり方に関する検討会」の最終報告書のなかで「病院債」の発行など直接金融の大切さに言及していますが、厚労省が認める「病院債」の発行は,特殊の病院を除いて当面は無理だと考えられます。
何故なら、現在の医療機関の経営情報、経理情報の開示は、社債を発行できるほどには公になってはいないからです。経営内容も決していいものではありません。
厚労省が認めた「病院債」を発行して、その病院が倒産した場合、債権購入者にだれが、どのような責任の取り方ができるのでしょうか。
発行母体の「株式会社」を作る
銀行に頼らないユ―ザ―からの直接金融の現実的な方法は、「小人数私募債」しかありません。しかし、この方法を活用しようとするときに、注意していただきたいことは、発行母体が株式会社であるということです。
そこに若干工夫が必要ですが、「小人数私募債」の場合は、@発行母体が株式会社であることを含めて、A社債の引受人が50名未満の小人数であること、B募集金額が5億円未満であること(募集金額の単位が100万円である場合は4億9900万円まで可能)の三つの条件が備わっていれば、比較的簡単に実行できる資金調達方法です。(“私募債の集め方”から要旨転載) |