医療等の現場においては、「一次消毒→洗浄」もしくは「洗浄→一次消毒」をして、その後、殺菌や滅菌工程が行われています。
●「洗浄」と「一次消毒」、どちらが先?
では、殺菌の前処理として行う「洗浄」と「一次消毒」では、どちらを優先して行うのがよいのでしょうか?
結論から言うと「洗浄」を先に行うのがいいとされています。
一次消毒を先に行うと、(ほとんどの消毒薬で言えることですが・・・)その性質上、タンパク質を凝固させ、医療器機、器具に固着させてしまいます。
つまり、汚れを落としにくくしてしまうのです。
その結果、変質したタンパク質が器械、器具に付着して、菌やウィルス類がそこに潜む可能性が高くなります。
これでは、その後洗浄を行っても、充分に洗浄液の作用が届かなくなります。同時に最終的な殺菌、滅菌工程の効果にも影響が出てくるのです。
●まず「洗浄を優先」を心がける
アメリカ疾患管理予防センターの「院内感染防止と対策のためのガイドライン」では「消毒の前処理」の定義として以下の説明がなされています。
消毒の前処理とは「血液やタンパクなどの有機物は多数の微生物を含んでいるので、消毒処理の前に完全に除去しなければならない。また、それらの有機物は化学殺菌物質を非活性化したり、微生物を消毒や滅菌処理より保護することである」。
衛生的な医療行為を行うには、医療器機、器具の汚れを充分に取り、消毒を行うことが大切です。それにより最終的な殺菌、滅菌工程の効果を経て衛生的な環境が保たれるのです。
(参考:手術室内での感染対策、医療用器械・器具洗浄剤の科学) |