(照会先)
厚生労働省・医政局指導課経営指導係(内線2553)
詳細は:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/midashi.html#kenkyu


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■経営改善事例簡単解説付き。詳細は上記HPにアクセス下さい

在宅医療、介護分野を重視した経営改善事例

・事例1・・巨大病院のお膝元で、独自のアイデアを打ち出して介護事業を拡大している例

 ここで紹介されている「恵仁会グループ」は、83床のくろさわ病院を中心に、老健施設、特養施設(いわゆる3点セット)を持ったグループ病院である。この3点セットに近接するところに、診療所や在宅サービスを展開し、平成10年からケア付住宅を始めた。ケア付住宅は医療法人ではできないので、別途設立した有限会社が行っている。

  

・事例2・・受け皿病院間の競争が激しい中、互いの施設の治療内容を理解し、選ばれるための努力をしている例

 熊本市は全国平均の倍のベット数を誇る医療激戦地域である。熊本大学病院を頂点として、中小病院は受け皿づくりに余念がないが、堀尾会グループは、互いの施設の治療内容を理解し、選ばれるための努力をして、生き残りに成功した。

・事例3・・医師会を中心とした地域連携が充実している地域での、在宅医療・介護に取り組んでいる事例

 尾道市は市街に島しょ部や山間部を持ち高低差の激しい地形で構成されている地域であるが、200床以上の大病院は市立病院と厚生連尾道病院の2件のみで、民間の大病院がない地域となっている。そのためその特性を活かして、医師会を中心とした地域連携を充実させ、在宅医療や介護に取り組んでいるのが杏佑会グループである。

・事例4・・都内の経営環境が厳しい中で、急性期病院として自立していく姿の例

 和乃会・小倉病院が立地する世田谷区は人口79万人、二次医療圏では人口122万人(高齢化率16.8%)の大都市である。地価が高いということもあって、特養、老健施設ともに定員数が少なく、人口10万人当たりの一般病床数も全国平均を下回る地域であるが、地域の中には大病院、ブランド力のある病院もあり、中小病院の医療経営という点では、難しい環境下にある。その中で、「世田谷区若手医師の会」が結成され、その会を中核として、中小病院の地域連携がなされつつある。

・事例5・・療養病床において、5年後、10年後の競争激化を先読みして競争力強化に着手した事例

 笠松会・有吉病院が立地する福岡県鞍手郡宮田町は、人口2万人、二次医療圏の直方・鞍手地域全体で人口12万人の周囲を山や畑に囲まれた自然豊かな地域である。宮田町内にはリーダー的大病院はなく、「リーダー的大病院不在型」に属す地域である。一方九州自動車道の整備によって人の行動範囲が広がり、ともすれば福岡市や北九州市などの中核都市にある大病院へと患者が流出する傾向にある。そのような背景を元に、高齢者ケア施設の整備が進んでいるのである。

・事例6・・地方に比べ土地代が高く療養型や介護施設を持つことが困難なため、ダウンサイジングを図り連携を促進させることで大都市型の課題解決を図っている事例

 寿康会病院は23区内という地価も高い地域にあり、近隣に大学病院や有名な大病院が多数あるエリアに立地している。そのため、老健施設や療養型病床の施設が圧倒的に少ない傾向にあるが、土地代が高く療養型や介護施設を持つことが困難なため、ダウンサイジングを図り連携を促進させることで大都市の課題解決を図った。

・事例7・・24時間オンコールシステムを導入し、在宅重視の地域密着型病院の一つの在り方の例

 天本病院の立地する多摩市は人口14万人、二次医療圏の人口は128万人の地域である。都内という立地条件の中で他の地域に比べても療養病床数の多い地域であるが、その特性から、現在23区に対する最大の高齢者ケアベッド供給地域ともなっている。そのような状況の中で、同病院は、いかに患者を集めるかという、入院中心の医療を脱却して、在宅支援機能の強化を図り、地域のナースセンター的な経営展開を行っている。

患者満足度調査や第三者評価を活用した経営改善事例

 川越市にある誠心会川越病院の事例である。病院の経営改善を図るには、医療をサービス業として捉え、サービスの受け手である患者を消費者と捉える視点が不可欠である。その中で、近年患者のニーズは多様化、高度化、複雑化して、病院側がそのニーズを把握するのは難しい。そこで一般企業で用いられている「顧客満足度調査」が有用な手段となるが、その手法を用いて患者満足度調査、第三者評価を行うことで病院の在り方を模索した。

専門分野への特化により差別化をした経営改善の取組事例

・患者や他の医療機関、職員からも選んでもらえる「オンリー・ワン(病院)」

 中小病院が生き残るために、また経営安定化のために、専門分野への特化(急性期病院を目指すか、慢性期の医療を担うのか等)もその選択肢の一つである。操風会岡山東病院は、岡山市に位置する162床の中小に属する病院であるが、民間企業の良い点を取り入れた経営方法を行っている。そこでは構成する「人」に焦点を当てて、職員の積極的な関与を促すなどの、やりがいが見いだせる方法を模索して、患者や他の医療機関、職員からも選んでもらえる「オンリー・ワン(病院)を目指している。

  ・患者の視点に基づいた焦点を絞り込んだ医療サービスを目指す事例

    脳卒中フォーカスト・ファクトリー

 北原脳神経外科病院は、理事長の考える「理想の医療」を実現するために平成7年1月に開設された病院である。病院理念である「世のため人のために「より良い医療をより安く提供する」にはどうすればよいかを追求しているが、決して診療報酬制度の後追いをすることはしない。脳卒中のフォーカス・ファクトリーとして、地域に定着している。
 

   糖尿病フォーカスト・ファクトリー

 萬田記念病院は全国有数の糖尿病専門病院である。昭和57年に理事長が就任して以来、糖尿病診療に特化してきたが、現在では糖尿病センターはもちろん、血液透析センターや眼下まで併設した糖尿病フォーカス・ファクトリーとなっている。毎日3回、カリキュラムを組んだ糖尿病教室を開くなど、患者教育を徹底し、糖尿病療養指導士の取得を奨励するなど、職員のレベル向上にも熱心に取り組んでいる。

   呼吸器診療に特化した専門病院

 医療法人恵友会津田内科病院は、呼吸器を専門とする病院として地域ニーズに応えていこうとしている。唱和40年代にじん肺・公害喘息患者が多かった地域にあって、開業以来、一貫して呼吸器を軸とした事業を展開している。最近は睡眠呼吸障害を含む専門病院として知名度も向上、他県からの自信患者も増えている。

地域連携による経営の安定を図る事例

 東京都世田谷区にある小倉病院では、地域連携に積極的に取り組みことにより、収益の安定を図っている。特に24時間体制の救急医療の提供は、いざというときに頼れる存在となっている。またITを積極的に活用して患者や連携先のニーズに応える体制の構築に積極的に取り組み、なくてはならない存在となっている。

ケアミックス型を選択し、外来重視を貫くため外来を病院から分離して隣接地にクリニックを併設した事例

 医療法人社団三奉会井上病院は、民間中小病院として生き残っていくための一つの形として、地域ニーズに合わせたケア・ミックス型の医療を選択した。外来重視を貫くために外来から病院を分離して、隣接地にクリニックを併設した。その結果外来患者の増加に伴う外来収入が増えて、入院収入の落ち込みを補いまでになった

特別医療法人として地域特性に合った効率的な医療システムづくりを担う事例

 平成10年の第三次医療法の改正によって、特別医療法人が制度化された。特別医療法人の特徴として、(1)持ち分の放棄にとって相続税が非課税になる。(2)収益事業を行うことができるという点があり、医療法人がの安定的経営や継続的な経営を行っていくうえで大変有効である。北海道北広島病院は、特別医療法人の第一号として認可された。

地域連携でケア不足を補い、急性期を選択した事例

 地域に密着した中小病院の今後の進路選択は困難を極める。一般病床か療養病床か、急性期か介護対応か、有床か無床の診療所かなど様々な要素があるからだ。大阪市旭区の医療法人清翠会牧病院は「地域密着型保健医療福祉システム」の一翼を担うべく、療養型病床群を含めたケアミックス型病院を目指してきたが、急性期一本の病院として再スタートすることになった。地域密着とはいえ、中小規模の病院が単独で地域の需要をみたすのが困難と判断したからだ。

医療者のニーズからみた多角的事業展開の事例

 医療法人社団大浦会は平成14年6月に2つのうち1つの病院を閉院した。閉院した病院跡地では、関連法人による配食サービスと子育て支援事業を立ち上げた。

基幹業務系システム(オーダリングシステム、電子カルテ)と基盤業務系システム(労務管理、物品管理システム)の融合によりIT化を図り業務の効率化を実現させた事例

 ITを積極的に活用して業務改善に取り組む病院が増えている。オーダリング・システムや電子カルテなどを導入しようとしている病院も多い。福岡県八女郡にある医療法人八女発心会八女中央病院は、平成3年に患者数が落ち込み、スタッフを定着せず、大きな岐路になっていた。そんな折り、前院長の弟が戻って前院長をサポート。医療法人への改組、マネジメント上の組織形態をビジョン(フラット)型に変更、ツールのしてのコンピュータの導入するなど矢継ぎ早に改革を進めた。

普通の病院が生まれ変わった経営改善の軌跡

 病床率70%程度のごく普通の病院であった医療法人三九郎病院(愛知県豊田市)。厚生省の方針を見越して付添看護を廃止してから、病院に変化が始まる。新病棟建設に着手すると同時に、コンサルタントのアドバイスを受けながら、やるべきことを着々と実行、顧客に一歩一歩近づく努力を重ねた。
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※(出典)平成14年度 医療施設経営安定化推進事業
・「在宅医療、介護分野を重視した中小病院経営に関する研究」報告書
・「中小病院経営改善ハンドブック作成及び普及事業」報告書